事業における「ひと」の話

公開日: 2023-6-24 / 更新日: 2023-6-28

Overview

事業における人について思ったことをまとめてみたいなと思ったのでまとめてみます。

僕が最近事業と「ひと」の関係性について考えてることは大きくは以下のことになります。

  • 「良いひと」が良い事業を作ること
  • 「いい人≠優しい人」
  • 採用は水ものであること
  • 多様であることは大事

ちなみに上記各項目ごとに現時点における関連性は特にありません。

「良いひと」が良い事業を作ること

これは最近ずっと考えてるテーマの一つではありますが、「良い事業」というものは「良いひと」がいないと整理しないなという当たり前のことを痛感しています。

何を持って「良い」のか、はまだ自分の中ではうまく言語化できていないのでやや抽象的な話にもなりますが、「ステークホルダー全員に対する Sincerity」を持っていることは非常に大事な要素なのではないかなと思います。

例えば目標にまっすぐであることは、一歩間違えると数字にコミットしすぎてブレーキが効かず、特定のステークホルダーに対して迷惑(ひいては損害)を与えるかもしれません。目標にまっすぐであることは否定されるべきではありませんし、目標を達成すること以上に大事なことはおそらく事業においてはないですが、それを対をなす、ある意味ブレーキとなるのが、この「Sincerity」になるのではないか?と最近考えています。

行きすぎた効率化や数字コミットは別の誰かを不幸にするかもしれない、という想像力とも言い換えられると思います。この想像力を持っている人は僕は総じて「良い人だな」と感じることが多いですし、実際そういった人はいい仕事をするし、その仕事の集合体としての事業はいい事業だなと感じることが多いです。

無料であるとか、めちゃくちゃ稼げるとか、そういった尺度とは別の「社会的意義性」といったものに真っ向からコミットできる事業になるためには、この多方面に「Sincerity」を持ったひとを大切にしていくことが大事なのかなと思いました。

「良い」の尺度は人によって異なりますし、もちろん会社のフェーズによっても異なります。

なぜ想像力が大事なのか?

何かを決断するときにはいろんなことを想像します。もちろん想像した上であえてリスクを取る、という判断もあると思います。ただし、事前に「想像できたかどうか?」は実は後々響いてきます。想像したけど、優先順位の関係で切ったのであれば、そこに切った「理由」が存在するはずなので、その理由を後から知ることができれば納得してくれる人もいるかもしれません。

僕個人として常々考えていることの一つに「説明責任」があり、ある意思決定がされたときにはそれに伴う理由は開示して欲しいと思っています。そういう人がいることに対しての想像力を働かせてほしいと思っています。

説明されれば議論ができます。過去のことであっても検証することができます。

何も考えずに(もしくは検討せずに)意思決定した、もしくはその記録が残っていない場合、それがうまく行っても再現性はないし、失敗しても検証ができないのでまた同じ過ちを繰り返すかもしれません。

失敗しないことなんて稀です。多くは失敗から学び、糧にして次の成功を目指すプロセスが大事でせう。ただし、失敗を次に活かすためには、失敗する原因になった意思決定の記録、特に意思決定のときに「何が優先され、何が優先されなかったのか」という記録が次のアクションを決めるときの基準になります。

想像力があることは、選択肢(オプション)を産み、比較を通して意思決定の記録を残すことにつながります。失敗の記録はそれ自体が財産です。さまざまなオプションを検討するためには、オプションを導き出せる想像力(=関わってくれるステークホルダーの範囲をどこまで広く検討できるかどうか)にかかっていると思っています。

採用は水ものであること

※ これは採用に関する業務については一切触れてませんし、昨今の採用プラクティスを dis る意図はありません

まず、この言葉を教えてくれた上司には感謝しています。

採用とは計画的に進めてもうまくいく時もあればうまくいかないときもあって、本当に「水もの」です。これを理解しないと「いい人」に仲間になってもらうことはできないと感じています。

水ものであると理解した上で人集めに投資する意思決定もあるでしょうし、水ものであると理解すればこそ、今の事業はいまいる「ひと」でまずは頑張る、といった意思決定をすることもあると思います。個人的にはどちらも正しいと思いますが、水ものであるからこそ、波がきてるときにコミットの熱量を上げることは大事だし、一方でくるもの拒まず、去るもの追わず、みたいなスタンスも大事なのかなと思います。

どうしても採りたかった人に断られてしまったこともありますし、え、来てくれるの?となった人もいます。まぁ言ってしまうとタイミングと縁みたいな再現性のないものに思えてきます。(再現性を高める努力をして、かつ採用が客観的にみてうまく行ってる企業は総じて素晴らしい取り組みをしてるなと痛感します)

取り止めなくつらつら書いてしまいましたが、水ものであることを理解し、そうだからこそ、波がきてる、流れがきてるときにはコミットメントを上げ、また流れをこさせるようなコミットメントを仕組みとして継続することが一番大事なのかなと思います。

人がいないと事業は成立しませんが、事業を成立させ、前に進めるために人を採用する、と言うのは個人的にはコードを書くと言うことの100倍難しい仕事であると考えています。

採用って難しいねぇ〜って毎回思う今日この頃です。

多様であることは大事

これは「Scaling Teams」に書いてあったことそのままのことを記載します。多様性について自分でうまく言語化できていなかった部分を完全に言語化してくれてる良書でした。

多様であるメリットは大きく以下の2つ。

  • 組織のスケーリングのボトルネックの解消。
  • より顧客に寄り添ったプロダクトを開発できる。

まず、1つ目については、例えば以下のようなケースが分かりやすいです

  • チーム構成が全員男性で独身 => 家庭を持ってる人を採用しづらい。
  • チーム構成が単一国籍のみ => 外国籍の人を採用しづらい。

PMF が終わって 1->10, 10 -> 100 とプロダクトのスケーリング速度が加速し、それに合わせて組織をスケールアップしないといけないときに、この「採用しづらい」ポイントが残ってることがチームのスケーリングのボトルネックになり得ます。

チームがスケーリングしないとプロダクトのスケールさせることができず、それはひいては顧客に届けられた価値を届けられないことにつながります。

会社の草生期には是とされていたチームの均質性とある種の無配慮が、その後の成長フェーズで組織をスケーリングさせたいときにそのプールのベースとなる応募者を跳ね返してしまう「壁」になってしまうリスクを抱え続けることになります。

2つ目の多様であればより顧客に寄り添ったプロダクトにできると言うのは、差別的な表現を含ませないようできる、という点がわかりやすかったです。

例えば白人だけでプロダクトを開発してる場合に、写真加工フィルタに黒人や東洋人差別といったフィルタを追加してしまうかもしれません。なぜなら、白人だけだとそれダメじゃね?ってそもそも気づくことができない可能性が高いからです。

これ、実は一番最初の想像力と繋がっていて、プロダクトの与えるインパクトについて想像力がないと自らが良かれと思ってやったことが誰かを傷つけてしまったり、結果としてそれが引き金となって事業が飛んでしまう、みたいなことがあり得ます。

多様性はある方がいいと言われがちですが、多様でないことは事業やチームが意図せず持ってしまう潜在的なバイアスを是正し、より顧客に寄り添ったプロダクトにつなげることができると言う点で多様であるべきですし、多様であるように受容できる組織、チームを作るべきなんだと思います。

まとめ

最終的にまとまりのない文章になりました。笑

「いい人」が集まる確率なんて奇跡みたいな確率だと思います。そんな奇跡みたいな確率の上に成り立つ事業なんて奇跡を何回繰り返すとできるだろうと言う気さえします。

人を集めるムーブをするようになって、初めて「人を集める」ことの難しさを痛感します。 そんな人を集め続けるためにはやはり自分自身が誰かにとって「いい人」であり続ける努力が大事なんだろうなと思います。

事業は人無しでは成立しませんが、いい人が集まってくる仕組みを考え続けないといけないんだろうなーと最近身に染みているので文章に残してみました。

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