個人のロードマップとスキルセットの話

公開日: 2021-1-22 / 更新日: 2023-6-28

Overview

組織として推進しないといけない施策(ロードマップ)と個人のキャリアについての考えてることをまとめます。

TL;DR

  • ロードマップの推進にコミットすることは事業の成長には寄与するが、個人のスキルセットの向上には寄与しない。
  • 個人のスキルアップのためにロードマップを利用する、という考え方が大事。
  • 迷ったら難しい方、面白い方を選ぶ

ロードマップと個人のスキルの関係について

組織人として仕事をしている以上、会社が決めたロードマップの遂行への義務、特に事業を健全に伸長させていくための中間地点としての KPI の達成にコミットすることは大事です。それを否定することはありません。

しかし、ここでKPIを追いかけ続けていると忘れてしまいがちですが、ロードマップの推進とKPIの達成と個々人のスキルの向上には実は相関関係はありません。

例えば、業界や事業のことをまだ完全に理解していない新人がたまたまいいクライアントに当たって、時流に乗って大きな予算を達成したケースを考えてみてください。この時KPIが大幅に達成されていた場合、このKPIの達成という成果は果たしてその新人の方のスキルに根ざした結果でしょうか?

おそらく大体の人がわかると思いますが、このケースにおいて新人さんのスキルを元にしてKPIを達成したと考える人は少ないのではないでしょうか?

つまり 個人のスキルはロードマップの推進、KPIの達成とは現実には相関しない ということがこのことからわかります。

ロードマップの実現とサラリーの関係

脇道にそれますが、前述した通りロードマップが着実に進んでいることと個人のベースとなるスキルセットには関係がないことを示しました。

実はこれはサラリーとの関係とも関わってきます。

ざっくり言ってしまうと

  • ロードマップの推進(KPIの達成)は賞与に関係する。
  • ベースとなるスキルセットの成長は基本給に関係する。

となります。

自分が報酬として受け取るものにもロードマップとスキルは関係します。

これも具体例を出すとわかりやすいですが、自分がある期にそこまで調査がよくなくても会社として業績を達成していれば、決算賞与という形でボーナスがもらえたり、そもそものボーナス時期に普段より多めの報酬をもらえるかもしれません。

しかし、個々人レベルで見ると、会社としては目標を達成しているが、個人としては特にアウトプットが見当たらない場合は基本給にはロードマップを達成したことは反映されません。

ロードマップとサラリー(ボーナス)の関係もみましたが、それぞれどこで評価された結果が還元されるのかが異なります。

決まったことをしてるだけではスキルは上がらない

ここは見出しにしたタイトル通りなんですが、ロードマップを推進してるだけでは基本的には個々人のスキルは伸長しません。

実際に業務をしているとわかることですが、ロードマップやそれに紐づくプロジェクト群、そして達成指標となるKPI群、これらは達成した結果のみがフォーカスされるものです。もしくはどれくらい達成してるのか?という途中確認が主です。

当たり前ですが「どうやって」達成しようとしているのか?というHowの部分にはスポットライトは当たりません。

極論決められたルールと道義的な範囲内であれば、 達成しさえすれば実現方法については問わない となります。これ自体は正で、異論はありません。

やり方を問わないのであれば、今まで同じように、慣れた方法で、達成することもおそらく可能です。慣れてるやり方であればサクッと実装できKPIの検証も素早く進んロードマップに対してはポジティブなことが多いでしょう。それを否定するつもりは一ミリもありません。

しかし、あえて否定するなら、慣れた方法や代わり映えのしない手法でやることは、最終的には組織やプロジェクトに最適化されたスキルセットを身につけるだけになってしまい、組織全体の野心的な精神の欠如に繋がりますし、個人レベルで見れば市場が取り残されてしまいます。

同じような方法を繰り返していたところで、ロードマップは進んでもスキルは一ミリも上がらない、ということはこうして生まれます。

あえて寄り道する、もしくは手段にこだわる

ロードマップを最速で推進することも大事ですが、僕はあえて「遠回りする」という考え方を持つことが大事だと思っています。

ロードマップを素早く推進し、ビジョン・ミッションを最速で実現したい側からすると何言ってんだ、とも捉えられかねませんが、僕は個人のスキルセットを上げることにフォーカスすることが、ひいては実現したいことに最終的には早く近づくことになると信じてるので、こういう立場をとっています。

出来たてほやほやで続くかわからないサービスを作ってる場合を除き、ある程度運用されて事業として市場への価値を生んでいるサービスにおいては、手段にこだわり実現が遅れても多少は許容されると思っています。もちろん難しい手段をとったり、そもそも個人の自己満足によるような方法を採用して達成が1ヶ月以上遅延する、みたいなケースは許容されるわけありません。そんな技術選定をする側は審美眼を鍛え直した方がいいと思います。

一方で、慣れ親しんだスキルの延長線上にあったり、ちょっと自分で難易度を上げること、手段に拘って見ることなどをして見えてくるものあります。新しいチャレンジをすれば一時的にプロダクト全体の信頼性は下がったり、ロードマップの遂行に対して短期的にはネガティブな影響を及ぼす可能性も否定はできませんが、そういったチャレンジが組織の硬直性を打破して行きます。

ちょっとした寄り道、好きな技術から要件を満たす方法を考えるなど、いつもと違う頭の使い方をすることっていうのはスキルの幅を広げるのに役立ちます。

スキルを上げるためには?

とはいえ、スキルアップとロードマップの遂行を同時にやるのは地味に難易度が高いです。個人的にここ半年くらいリードをやってきたなかで気づいたこととして以下の観点で進めるとスキルへの貢献もでき、またロードマップへの影響も最小限に抑えられるのではないかなと考えています。

  • スキルアップのためのロードマップを使う、という意識を持つ。
  • チャレンジする領域は1つ、ないし2つくらいに絞り、不確実性をコントロールする。
  • 同じようなことをするならちょっと変わったやり方を考えてみる。
  • 小さく始める

まとめ

最近ロードマップの推進と個々人のスキルアップをどう両立するのか?というテーマを考えていたので、現時点での思考のダンプとして書きました。

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